最も不可解なのは、車が山道に入ってから約30分後のことだ。突如として映像が乱れ、砂嵐のようなノイズが画面を覆う。そこから丸々17分間、録画データが完全に消失していた。システムエラーなのか、あるいは意図的に電源が抜かれたのかは分かっていない。
データが復旧した直後、マイクは車内の奇妙な音を拾っていた。カチカチという金属的な擦れ音。そして、蓮さんのものとは明らかに異なる、低くかすれた話し声だ。「そこじゃない」――そう聞こえる一言を残し、映像は完全に途絶えた。その数分後、車は崖下の林道で発見されることになる。