アルコール選びにおいて最も警戒しなければならないのが、エタノールと名前が一文字違いの「メタノール(メチルアルコール)」との違いです。メタノールは主に燃料用や工業用溶剤として流通しており、ドラッグストアやホームセンターでも安価に販売されています。
メタノールは人体に対して極めて強い有害性と危険性を持っています。体内で代謝されると劇毒であるホルムアルデヒドやギ酸へと変化し、皮膚から吸収されたり蒸気を吸入したりするだけで、視神経障害による失明や中枢神経麻痺、最悪の場合は死に至る急性中毒を引き起こします。過去の感染症流行期や海外の事例では、消毒用エタノールの代替として誤用・密造されたメタノール製剤による集団中毒死事故が複数報告されています。
また、製品比較として頻繁に登場する「イソプロパノール(IPA / イソプロピルアルコール)」も理解しておく必要があります。イソプロパノールは酒税がかからないため、消毒用エタノールよりも安価に製造・販売されています。消毒効果自体はエタノールに匹敵しますが、皮脂を強力に奪う「脱脂作用」が強く、手荒れを起こしやすい点や、独特の薬品臭がある点、エタノールよりやや毒性が高い点に留意しなければなりません。肌が敏感な方や日常的な手指消毒には、基本としてエタノール製剤を選ぶのが堅実です。