なぜレムの角は一本しかないのか。その理由は、鬼族の血統に古くから伝わる「双子の忌み子伝説」に起因します。
本来、鬼族の構成員は頭部の左右に「2本の角」を持って生まれてきます。2本の角を持つ鬼こそが完全体であり、かつて亜人戦争でも恐れられた超常的な力の象徴でした。しかし、稀に生まれる双子は母胎の中で力を分け合い、1人につき1本しか角を持たずに誕生します。
里の掟において、角が1本しかない双子は「不完全な出来損ない」「一族の力を弱める不吉な存在」と見なされ、生後まもなく処分(間引き)される過酷な風習が存在していました。レムとラムが誕生した際も、里の長老たちによって処分が下されようとしていました。
その処刑を寸前で覆したのが、姉であるラムの桁外れな才能でした。赤子でありながら一本の角から膨大なマナを操り、里の大人たちを一瞬で圧倒したラムは「鬼神の再来」と崇められることになります。結果として二人は生き長らえることを許されましたが、これがレムにとって長く続く劣等感と自己否定の始まりとなりました。