本作の大きな魅力は、実力派俳優の萩原聖人さんが演じる主人公(カメラマン)の視点から描かれる、過去の恋人との追憶の日々です。ファインダー越しに微笑む彼女の姿と、失われた時間への喪失感が交錯する構成は、多くのリスナーの胸を締め付けました。
撮影を手掛けたのは、数々の名作MVを世に送り出してきた映像作家・山口保幸監督。撮影現場では、台詞がない映像表現だからこそ、二人の細やかな視線の動きや空気感が徹底して追求されました。後年のインタビューや関係者の証言によると、現場では萩原聖人さんのリードにより、自然体でありながらどこか切なさを漂わせる独特の空気感が作り出されたと伝えられています。
ファンの間で今も聖地として語られる『さくら』MVのロケ地は、満開の桜並木が印象的な静岡県駿東郡小山町周辺や都内各所のスタジオで撮影されました。散りゆく桜の花びらとファインダー越しに映る鈴木えみさんの横顔の対比は、J-POPの映像史に残る屈指の名シーンとして刻まれています。