施設を語る上で外せないのが、近年の大規模改修によって実現した劇的な展示内容のアップデートです。「大空」と「飛翔」をテーマに掲げてきた同館ですが、航空ゾーンの大幅な再編に加え、新たに「宇宙ゾーン」が拡張されたことで、展示面積・学習深度ともに東北随一のスケールへと到達しました。
来館者の視線を一際集めているのが、航空科学館のエントランスを抜けた先に佇むホンダジェット(HondaJet)技術実証機の実機展示です。本機は、本田技研工業が航空機業界に参入し、主翼上面にエンジンを配置するという革新的なブレークスルーを果たした歴史的プロトタイプそのものです。公式発表資料や開発関係者の証言記録が示す通り、極限の空力特性を追求したノーズ形状や斬新な主翼設計は、実物を間近で観察してこそ技術者の執念が伝わってきます。現在、一般市民がこの歴史的機体を間近で見学できる常設施設は世界的に見ても極めて希少であり、航空技術愛好家にとってはこれだけでも訪問の価値があります。
また、三沢の誇りであるミス・ビードル号の復元機展示も、リニューアルに伴い照明演出と動線が見直され、より立体的なストーリーテリングをもって来館者を迎えます。1931年、三沢の淋代(さぶしろ)海岸から米ワシントン州へ向けて飛び立ち、世界初の太平洋無着陸横断飛行を成し遂げた冒険の軌跡は、三沢という街がなぜ「航空の街」と呼ばれるのかを物語る揺るぎない原点です。