冷蔵庫の湿度は砂漠並み?食材の乾燥を防ぐ適正湿度と長持ち保存術

冷蔵庫の湿度は砂漠並み?食材の乾燥を防ぐ適正湿度と長持ち保存術

冷蔵庫の湿度は砂漠並み?食材の乾燥を防ぐ適正湿度と長持ち保存術についての最新情報をお届けします。

「冷やすための家電」であるはずの冷蔵庫が、なぜこれほどまでに乾燥した空間を作り出してしまうのか。その背景には、冷却機構の構造と空気の物理的な性質という2つの明確な理由が存在します。

最大の要因は、庫内を冷却する冷却器(エバポレーター)の働きです。現在のファン式冷蔵庫は、氷点下まで冷やされた冷却器にファンで風を当て、冷たい空気を庫内へ循環させる仕組みを採用しています。このとき、空気中に含まれる水蒸気は、極低温の冷却器の表面に触れると瞬時に霜(氷)となって凍りつきます。つまり、庫内の空気が冷却器を通過するたびに強制的な「除湿」が行われており、水分が奪われたカサカサの冷気が再び庫内へ戻ってくるサイクルを繰り返しています。これが、冷蔵室内の湿度が10〜20%という極度の乾燥状態に固定される構造的理由です。

さらに見逃せないのが、常温の食材を庫内に入れた際に発生する「水分子の移動」です。常温(20〜25℃)の食材は多くの水分を含み、その表面付近の水蒸気圧は高くなっています。一方で、2〜6℃に冷やされ湿度が20%を切る冷蔵室内の空気は、水蒸気圧が極端に低い状態です。気圧の高い場所から低い場所へ風が吹くのと同様に、水分は「水蒸気圧の高い食材の内部」から「水蒸気圧の低い庫内の空気」へと猛烈な勢いで吸い出されます。この物理現象によって、ラップをしていない食材はあっという間に水分を吸い尽くされ、干物のようなパサパサ状態へと変貌してしまうのです。

中川 明日香
著者

中川 明日香

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。