期限切れの薬が抱える問題は、個人の健康リスクにとどまらない。日本全体で放置されている「処方薬の飲み残し(残薬)」の総額は、年間で数百億円から千億円規模に達すると試算されている。これは超高齢化社会を迎えた日本の国民皆保険制度を圧迫する大きな要因の一つだ。
調剤薬局では現在、余った薬を持参して処方量を調整する「残薬調整サービス」の利用を強く推奨している。薬剤師に状態を確認してもらうことで、無駄な調剤を防ぎ、医療費の自己負担額を減らすことができる。また、自己判断で服用を中断せず、処方された期間内に飲み切る意識を持つことが、社会的損失を防ぐ第一歩となる。