人形ホラーの中でも世界的な社会現象となったのが、映画『死霊館』シリーズに登場する悪魔の人形「アナベル」です。劇中では不気味な木製ビンテージ人形として描かれていますが、そのモデルとなった実話に基づく人形ホラー映画の原型は、アメリカで市販されていた布製の「ラガディ・アン人形」でした。
呪われた人形事件の経緯を辿ると、1970年に米コネチカット州で看護学生が入手した人形が発端となっています。部屋の中で位置が変わる、手書きのSOSメッセージが残されるといった怪奇現象が相次ぎ、著名な超常現象研究家であるエド&ロレイン・ウォーレン夫妻が調査に介入しました。
アナベル死霊館の実話真相として記録されているのは、人形そのものに魂が宿ったのではなく、「人形を媒介として人間を操ろうとする悪霊(デーモン)」の存在でした。夫妻のオカルト博物館に厳重保管された現在も、軽率に触れた来訪者が直後に不慮の事故に遭ったという証言が後を絶ちません。映画はこの記録をもとに劇的な脚色を加えていますが、事実に根ざした冷徹なリアリティが観客を震え上がらせる要因となっています。