家庭菜園のコミュニティや園芸Q&Aサイトで春先に最も投稿数が増加するのが、「ナスの種をまいたのに2週間経っても芽が出ない」というトラブルです。原因を掘り下げると、初心者が陥りやすい明確なパターンが存在します。
第1の原因は、圧倒的な地温不足です。ナスはトマトやキュウリよりも高温を要求する作物で、発芽には昼間28℃、夜間20℃前後の温度が不可欠です。暖房の効いていない室内や、無加温のベランダに置いた育苗ポットの土中温度は15℃を下回ることも珍しくありません。この状態では種が休眠したまま土中で腐敗してしまいます。
第2の原因は土のかけ過ぎ(覆土の過不足)です。ナスの種は「嫌光性種子(光を嫌う性質)」に分類されるため、種が露出していると発芽が抑制されます。一方で、土を1cm以上深く被せてしまうと、小さな種が持つ初期エネルギーが尽きて地上へ芽を押し出せなくなります。ベストな覆土の深さは約5mmです。
第3の原因は水分管理の極端なブレです。種まき直後に土をカラカラに乾かしてしまうと吸水が止まり、逆に毎日ビチャビチャに水を与え続けると種が酸欠に陥ります。
発芽率を劇的に上げるプロの裏ワザとしておすすめなのが「催芽(さいが)処理」です。ぬるま湯で湿らせたキッチンペーパーにナスの種を包み、ジッパー付き保存袋に入れます。それを電気毛布や保温マット、あるいはカイロを入れた発泡スチロール箱に入れて28℃前後に保つと、3〜4日で白い幼根(芽)がプチッと顔を出します。このわずかに発芽した種をピンセットで育苗ポットの土に浅く植え付ければ、失敗なくほぼ100%の確率で揃った芽立ちを実現できます。