ネット上の相談掲示板や購入前の口コミで根強く囁かれるのが、「ターボ車はガソリンを食うからやめておけ」という意見です。このターボ車は燃費が悪いという噂の真相を検証すると、過去の技術遺産による先入観と、現代の内燃機関設計思想との激しいギャップが浮かび上がってきます。
1980年代から90年代にかけてのターボ車は、大排気量エンジンに巨大なタービンを装着し、高回転域で暴力的なパワーを叩き出す設計でした。高過給時のノッキングを抑制するために大量のガソリンをシリンダー内へ噴射して気化熱冷却を行っていたため、アクセルを踏み込めば文字通り燃料計の針が目に見えて落ちていく有様でした。「ターボ=極悪燃費」というパブリックイメージは、この時代の強烈な体験によって形成されたものです。
しかし、欧州車から始まり世界的な標準となったダウンサイジングターボの評判と最新動向は、その図式を完全に過去のものとしました。シリンダー容積を小さくしてエンジン本体の摩擦損失(フリクションロス)や吸気抵抗(ポンピングロス)を徹底的に削ぎ落とし、定常走行時は極限まで燃料消費を抑制。加速が必要な瞬間だけ小型軽量タービンで過給圧をかけ、大排気量並みのパワーを瞬間的に補うという思想です。
直噴インジェクション技術と電子制御ウエストゲートバルブの超精密制御が実現した結果、カタログスペック上のWLTCモード燃費において、NA車とターボ車の燃費格差はわずか5〜10%前後の差にまで縮小しています。郊外路や高速巡航などの定速走行においては、ギア比を高く保ったまま低いエンジン回転数を維持できるターボ車の方が、高回転まで回し続けなければ走らないNA車よりも実燃費で逆転するケースすら珍しくありません。