視界の異変を感じた際、絶対に軽視してはならないのが「光視症」の併発である。眼球を動かした瞬間に、視野の隅でピカッと光が走る現象は、網膜の感覚細胞が物理的な引っ張り刺激を光として誤認することで発生する。
日本眼科学会公式見解まとめや各種疫学調査によると、急性後部硝子体剥離に伴って光視症を伴う飛蚊症の危険性が顕在化した場合、およそ10〜15%の確率で網膜裂孔が同時に生じていると報告されている。網膜が裂ける瞬間に毛細血管が破綻すると、大量の血液が硝子体内に溢れ出し、患者の目には「突然の無数の黒い点」や「煙幕」として自覚される。
網膜に穴が開いた状態を放置すると、液化した硝子体がその裂孔から網膜の裏側へと潜り込み、壁紙が剥がれるように網膜が土台からめくれていく「裂孔原性網膜剥離」へと進行する。網膜が完全に剥がれた部分は光を感じられなくなるため、視野の端から黒いカーテンが迫ってくるような「視野欠損」が起きる。剥離が視力の中心を担う「黄斑部」に達した場合、視力は急激に0.1以下へと落ち込み、手術で網膜を復位させても歪み(変視症)や不可逆的な視力低下が後遺症として残るリスクが高い。