アメリカ心理学会(APA)の調査報告によれば、先進国におけるストレス疾患の過半数が三大欲求の不均衡に端を発している。特に深刻なのが、ハーバード大学医学大学院をはじめとする研究機関が警鐘を鳴らし続ける慢性的な睡眠不足、すなわち「睡眠負債」の脅威だ。
睡眠が削られると、脳内では食欲抑制ホルモンのレプチンが激減し、食欲増進を促すグレリンが急増する。理性的な判断を担う前頭前皮質への血流が落ちる一方で、情動や報酬を司る偏桃体と側坐核が過敏になる。その結果、高カロリーなジャンクフードや刹那的な快楽への渇望が抑えられなくなる。現代人が抱える「意志の弱さ」の正体は、睡眠不足によってドーパミン受容体がバグを起こした脳の物理的エラーに他ならない。