峰不二子という稀代のヒロインの誕生には、興味深い創作秘話が存在します。原作者のモンキー・パンチ氏が生前のインタビューで明かした峰不二子のモデルとなった人物は、映画『007』シリーズに登場する歴代のボンドガールたちでした。「毎回異なる魅力的な女性を登場させたい」という構想から生まれたキャラクターだったのです。
そのため、原作漫画の初期設定における峰不二子の正体の真相は、実は「エピソードごとに名前と外見が同じだけの別人」でした。話によって看護師や科学者、スパイなど立場が全く異なっていたものが、連載が進むにつれて「同一の神出鬼没な女盗賊」へと統合されていった経緯があります。二人の馴れ初めについても作品ごとに語られ方が異なり、初対面から互いの実力を試し合うようなスリリングな遭遇劇が描かれています。
2012年に放送されたスピンオフアニメ『LUPIN the Third 峰不二子という女』では、彼女の過去にまつわるトラウマや偽りの記憶がサスペンスフルに描かれ、ファム・ファタールとしての根源的な哀愁が浮き彫りになりました。「裏切りは女のアクセサリーよ」という不朽の名言・セリフが示す通り、彼女にとって裏切りとは悪事ではなく、自らのアイデンティティを守るための装飾品に過ぎないのです。