「話題のCMに出演した=即座にトップスターの仲間入りをし、数千万円のギャラを手にする」というイメージを持つ人は少なくありません。しかし、芸能界の構造や広告契約の実態を取材すると、そこにはネット上の噂とはかけ離れたシビアな現実が存在します。
第一の誤解は、新人発掘系CMの出演料に関するものです。登竜門とされる大規模な企業CMの場合、制作費全体の予算配分は放映枠の買い付け(電波料)に大半が割かれており、新人タレントの出演ギャランティ自体は一般的な会社員の月給程度に抑えられるケースも珍しくありません。事務所側も「まずは知名度と実績を獲得するための先行投資」と割り切ってキャスティングを受け入れることが慣例化しています。
第二の盲点は、CM契約に付随する「競合排他条項」の厳しさです。ひとたび大手飲料メーカーやファストフードチェーンの顔になると、契約期間中および契約終了後一定期間(通常半年から1年間)は、ライバル企業の製品広告への出演はもちろん、プライベートでの競合製品のSNS露出も制限されます。そのため、CMで一躍脚光を浴びたものの、その後の仕事選びが競合制限によって制約を受け、露出が一時的に落ち込む「ブレイクの踊り場」に直面するリスクも孕んでいるのです。