師岡熊野神社の境内とその周辺には、古くから語り継がれる「師岡の七不思議」が存在します。なかでも参道横に位置する「いの池」は、現在も水を湛えるパワースポットとして有名です。
かつて境内一帯には「いの池」「ちの池」「つの池」と呼ばれる3つの池が存在し、それぞれ文字の形(「い」「ち」「つ」)を模していたと伝えられています。「いの池」はどんな大干ばつの年でも決して水が枯れることがなく、逆に長雨が続いても決して水が溢れ出さなかったという霊験あらたかな池です。池の底には神の使いである「片目の魚」が棲むという言い伝えや、池の水で墨をすって神符を書いたという伝承も残されています。
現在、「ちの池」は大曾根の住宅地内に石碑が残り、「つの池」は埋め立てられたものの、「いの池」は弁財天を祀る神聖な水辺として保存されています。毎年1月中旬には、神社の伝統儀式である「筒粥神事(つつがゆしんじ)」(横浜市指定無形民俗文化財)が執り行われ、竹筒に入った粥の状態でその年の農作物の作況や世情が占われます。境内裏手に広がる鬱蒼とした熊野山の社叢(天然記念物)と相まって、一歩足を踏み入れるだけで都会の喧騒を忘れさせる濃密な霊気に包まれます。