本名ローレンス・トゥロー。シカゴの貧困街で12人兄弟の末っ子として生まれ育った男の原点は、ナイトクラブの用心棒(ボディーガード)だった。客から没収した金のアクセサリーを首にジャラジャラと巻きつけ、店内を暴れる者を一捻りする巨体。その異彩を放つ姿が、ある男の目に留まる。当時、新作映画の敵役を探していたシルヴェスター・スタローンその人だ。
1982年公開の『ロッキー3』で、彼は主人公ロッキー・バルボアを徹底的に追い詰める強敵クラバー・ラング役に抜擢された。リング上で放つ「俺の予測? ……苦痛だ(Pain!)」という冷酷な名セリフは全米に激震を与え、無名の用心棒は一夜にしてハリウッド映画界の超新星となったのである。アクション映画の歴史において、これほど鮮烈な銀幕デビューを果たした者は他にいない。なお、日本では「ミスター ティー」として定着しているが、本国アメリカでは「ミスター・T」の表記で一大ブームの主役となった。