波乱の初婚を経て、2003年に彼が再婚を果たした相手が、現在のパートナーである野口加津子さんだ。一般企業での勤務経験を持つ彼女は、表立ったメディア露出を極力避け、家庭の平穏を守り抜く姿勢を一貫して貫いている。
二人の出会いは、野口が過酷な遠征や環境活動で疲弊していた時期に重なる。華やかな脚光を浴びる反面、常に死と隣り合わせの緊張感を抱える彼にとって、加津子さんの揺るぎない冷静さと落ち着いた佇まいは救いだった。彼女は夫の危うさを誰よりも理解し、命がけの遠征へと送り出す恐怖を抱えながらも、決して公の場で弱音を吐くことはない。この無言の理解こそが、野口健という稀代の登山家を支え続ける最大の土台だ。