取材に応じた30代後半の女性Aさんは、10年間の婚姻生活を次のように振り返ります。
「最初は『君のためにアドバイスしている』という言葉を信じていました。でも、料理の味付けから掃除の順番、子どもの接し方に至るまで毎日2時間以上ダメ出しをされ続けるうちに、朝起きるだけで動悸がするようになりました。夫が鍵を開ける音が恐怖で仕方がなかったのに、『怒らせる私が悪い』と思い込んでいたんです」
Aさんの証言にあるように、モラハラ環境下では心理的バウンダリー(境界線)が破壊されます。加害者の感情の責任を被害者が肩代わりさせられ、「夫の機嫌=自分の責任」という共依存の構図が完成してしまうのです。
SNSや相談コミュニティに寄せられる生の声を見ても、「優しくされる時期(ハネムーン期)」と「突然爆発する時期(爆発期)」の落差によって被害者が洗脳状態に陥り、自力での脱出をためらってしまうケースが後を絶ちません。