極上の「アスピリンスノー」を求めてやってくるスキーヤーたちが、最終的にこの地に惚れ込む理由は雪質だけではない。日が暮れると、ウェアを脱いだ外国人観光客たちが手ぬぐい片手に木造の浴場へと消えていく。村内に点在する13の「外湯」だ。
これらの温泉は、単なる観光用のアミューズメント施設ではない。地元住民が日常的に利用し、清掃や管理を共同で行う「湯仲間」という自主組織によって江戸時代から大切に守られてきた生活の場である。熱湯(あつゆ)に思わず声を上げる旅行者に、地元の古老が優しく入浴マナーを教える風景。ここには、他の人工的なリゾートには絶対に真似できない「生きている日本の暮らし」がある。2026年の今、多言語の案内看板やマナー啓発も浸透し、互いの文化をリスペクトし合う温かい交流の場として機能している。