世帯主の決定において金銭面で最も大きな影響を与えるのが、勤務先から支給される「住宅手当(家賃補助)」です。厚生労働省の各種労働条件調査でも明らかなように、企業の住宅手当支給規程では「自らが賃貸借契約の名義人であること」に加えて「住民票上の世帯主であること」を必須要件に掲げている企業が全体の過半数を占めます。
例えば、賃貸借契約の名義人が彼氏であるにもかかわらず、住民票で彼女を世帯主にしてしまった場合、彼氏は「世帯主ではない」という理由で、彼女は「賃貸契約者ではない」という理由で、双方が住宅手当の受給資格を喪失してしまう事態に陥ります。月額2万〜3万円の手当であっても、年間では24万〜36万円の損失となります。家賃補助を受ける側が確実に「契約名義人かつ世帯主」になるよう調整しなければなりません。
会社へのプライバシー保護、いわゆる「同棲の会社バレ」を防ぐ観点でも世帯設定は分岐点になります。会社に提出を求められる「住民票記載事項証明書」や「住民票の写し」において、1人を世帯主・もう1人を同居人にしていると、世帯全員記載の書類を発行した際にパートナーの氏名と「同居人」の続柄が明記されます。一方、2人とも世帯主にして世帯分離を行っていれば、自身の住民票には相手の情報が一切印字されず、単身世帯と同様の体裁を保つことができます。
なお、税金や社会保険の扶養関係については、同棲状態であっても原則として法律婚と異なり、配偶者控除や配偶者特別控除の対象外です。双方が会社員として自立して収入を得ている限り、世帯を一緒にしても分けても各自の所得税・住民税・社会保険料の計算に直接的な変動は生じません。