「伝統とは、型を守ることではなく更新し続けることだ」――。代表の桐本泰一氏が長年掲げてきたこの理念は、次世代へと着実に継承されている。泰一氏は、漆器を日常の暮らしに引き戻すべく、現代のプロダクトデザイナーとの協働や建築空間への漆提案など、従来の枠組みを次々と塗り替えてきた。その言葉には、極限の状況を乗り越えてきた者だけが持つ静かな迫力が宿る。
そして今、息子の桐本晃樹氏をはじめとする若手職人たちがそのバトンを受け取り、新たな感性で工房に風を吹き込んでいる。晃樹氏の手から生み出される造形や、若き職人たちによる技術の継承は、単なる家業の存続ではない。変わりゆく時代の中で漆の魅力をどう伝えるか。親子でぶつかり合いながらも同じ未来を見据える姿勢に、ブランドの力強い底力が垣間見える。