なぜ同じ単語を3回も並べるような奇妙な学名が誕生したのでしょうか。その背景には、18世紀のスウェーデンの博物学者カール・フォン・リンネが提唱した命名法と、現代の「国際動物命名規約(ICZN)」の厳格なルールがあります。
通常、生物の学名は「属名+種小名」の2語で表す二名法(Binomial nomenclature)が用いられます。ゴリラ属のニシゴリラであれば、属名がGorilla、種小名がgorillaとなり、学名は『Gorilla gorilla』です。
しかし、同じ種の中に地域変異や形態差が認められる場合、さらに細かく分類するために「属名+種小名+亜種名」の3語で表記する三名法(Trinomial nomenclature)が適用されます。新しく亜種を分ける際、その種の基準となるグループ(基亜種または承名亜種)には、種小名と同じ単語を亜種名としてそのまま割り振るのが国際的なルールとなっています。
つまり、以下の3つの要素が完全に一致した結果として「ゴリラ・ゴリラ・ゴリラ」が完成しました。
- 属名(Genus):Gorilla(ゴリラ属)
- 種小名(Species):gorilla(ニシゴリラ)
- 亜種名(Subspecies):gorilla(ニシローランドゴリラ)
ふざけて名付けられたわけでも、強烈な個性をアピールするために3連呼されたわけでもなく、分類学上のルールに厳格に従った必然的な結果なのです。