朝の港は静寂に包まれている。波の音と鳥の羽ばたきだけが響く午前8時、旅を始めるには格好の時刻だ。観光客で賑わう前の常夜燈周辺を独占し、朝日を浴びる瀬戸内海を眺める贅沢。これが2026年スタイルのスマートな散策術である。
旅のスタートは鞆港の象徴・常夜燈から。そこから山手へと続く迷路のような路地へ足を踏み入れる。観光地図には載っていない小さな坂道を登ると、眼下に瓦屋根の波と青い海が一望できる隠れた展望ポイントが現れる。医王寺の境内へと続く長段を一段ずつ踏みしめれば、風が運ぶ潮の香りが心地よい。
午後は海沿いの古民家を再生したカフェで一休みにしよう。ガラス越しに波打ち際を眺めながら味わう自家製ドリンクは格別だ。大通りをただ往復するだけでは決して出会えない、港町の深い呼吸がそこにある。