シリアスな演技力の極致として記憶に新しいのが、三谷幸喜脚本の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』における比企能員役だ。権力闘争の渦中で徐々に猜疑心を募らせ、一族の存亡を背負って冷酷な謀略へと身を投じていく様は、視聴者を戦慄させた。
普段の柔和なパブリックイメージを完全に消し去り、血走った瞳と低く響く声で権力欲を体現する姿は、まさに怪演と呼ぶにふさわしいものだった。喜劇で培った独特の「間」が、シリアスな場面では張り詰めた緊張感へと反転する。笑いと狂気は紙一重であるという真理を、彼は自らの肉体をもって証明してみせたのだ。