戸田家の絆を語る上で欠かせないのが、1995年の阪神・淡路大震災の経験である。当時まだ幼かった戸田恵梨香の記憶にも、街が一変した凄まじい光景は鮮烈に焼き付いている。自宅周辺も甚大な被害を受け、父が心血を注いでいた道場も全壊という悲劇に見舞われた。
絶望的な状況下にあっても、父親は決してうなだれることはなかった。家族の安全を最優先で確保すると同時に、近隣住民の救助や物資の調達に奔走。自らの道場を失いながらも、地域コミュニティを支えるために先頭に立って動き続けた。
その後、ゼロから道場の再建に向けて汗を流す父の背中を、彼女は間近で見つめていた。失ったものを嘆くのではなく、目の前にある現実を受け止めて再び立ち上がる。言葉ではなく行動で示された父親の不屈の闘志は、彼女の中に「どんな困難も必ず乗り越えられる」という確信を植え付けた。