熊本の繁華街・新市街の一角で長年ランドマークとして機能していた熊本東急REIホテルの営業終了は、地元経済界や全国の常連客に小さくない波紋を広げました。同ホテルは1980年10月、「熊本東急イン」としてオープン。2015年4月のグループブランド再編によって「熊本東急REIホテル」へと名称を変え、洗練されたサービスを展開してきました。しかし、2019年10月27日のチェックアウトをもって、約39年におよぶ営業の歴史に静かに終止符が打たれました。
ネット上では「経営破綻ではないか」「観光需要の低下か」といった臆測も飛び交いましたが、熊本東急REIホテルの閉館理由における最大の要因は、建物の深刻な老朽化と建物賃貸借契約の満了です。開業から40年近くが経過した施設は、耐震補強や配管設備の抜本的改修など、天文学的な更新コストを要する段階に達していました。折しも熊本は2016年の熊本地震を経験し、建築物の構造的安全性に対する社会的要請が一段と厳格化した時期でもありました。
さらに見逃せないのが、熊本市中心部の都市構造の変化です。ホテルの至近では巨大複合施設「サクラマチクマモト」が2019年9月にグランドオープンを迎えており、エリア一帯の再開発が急速に進展していました。東急ホテルズ側としては、莫大な設備投資を行って既存の老朽建物を維持するよりも、契約満了のタイミングで事業を一度整理し、グループ全体のポートフォリオを最適化する道を選んだというのが実情です。