カマンベールチーズの真価は、異なる味覚要素との掛け合わせによって飛躍的に跳ね上がる。なかでも絶対的な黄金律として世界中で支持されているのが、カマンベールチーズとはちみつの組み合わせである。
白カビ由来のシャープな塩気と芳醇な発酵香に対し、はちみつが持つ濃厚なブドウ糖の甘みと花のようなアロマが重なることで、味覚の「コントラスト効果」が炸裂する。特にアカシアやクローバーなどのクセの少ないはちみつをタラリと垂らし、そこに粗挽きの黒胡椒とローストしたクルミをトッピングした一皿は、ミシュラン星付きレストランのデザート前の一品(アヴァン・デセール)にも匹敵する完成度だ。
日常の晩酌に重宝するカマンベールチーズ簡単おつまみレシピとしては、以下の3パターンが即座に試せる鉄板の組み合わせである。
- 生ハム&黒胡椒ロール:薄切りにしたカマンベールを生ハム(プロシュート等)で巻き、エキストラバージンオリーブオイルを少量かける。生ハムの熟成香とチーズのクリーミーさが溶け合う。
- 焼き海苔&わさび醤油の和風仕立て:サイコロ状にカットしたカマンベールにわさび醤油を数滴垂らし、上質な焼き海苔で挟む。チーズのグルタミン酸と海苔のイノシン酸が結びつき、驚くほど日本酒にマッチする。
- ドライいちじく&クラッカーのカナッペ:全粒粉クラッカーにチーズと刻んだドライいちじくを乗せる。プチプチとした種の食感とチーズのなめらかさが絶妙なリズムを生む。
また、外食産業やバルで大人気のカマンベールチーズフライの作り方には、家庭で失敗しないための決定的なコツがある。最大の事故原因は「揚げている最中にチーズが溶け出し、油の中で大爆発を起こす」ことだ。これを完全に防ぐための手順は次の通りである。
- 放射状に6〜8等分にカットしたカマンベールを、調理直前まで冷凍庫で約20分冷やし、表面を固めておく。
- 小麦粉をまぶした後、溶き卵にくぐらせ、細目のパン粉をつける。この「小麦粉→卵→パン粉」の工程を必ず2回繰り返す(ダブル衣の形成)。外壁を完全に隙間なくシーリングすることが成功の必須条件だ。
- 180℃〜190℃の高めの油に投入し、衣がきつね色になるまでわずか40〜50秒の短時間で一気に揚げる。余熱で内部が溶けるため、油の中に長時間放置してはならない。
サクッとした熱々の衣を噛み破った瞬間、中からトロリと溢れ出る熱々のチーズは、家庭料理の枠を完全に超越したご馳走となる。