村上虹郎という特異な役者を語るうえで避けて通れないのが、その特異な出自と表現者としてのメンタリティです。
彼の両親は、実力派俳優の村上淳と、日本を代表する孤高のシンガーソングライター・UA。幼少期に両親が離婚した後は母・UAのもとで育ち、沖縄への移住やシュタイナー教育、さらにはカナダ・モントリオールへの単身高校留学など、徹底してオルタナティブで自由な環境で感性を研ぎ澄ませてきました。この「圧倒的な表現者のDNA」は彼の最大の武器であると同時に、精神的な繊細さという諸刃の剣でもありました。
2023年3月、所属事務所から舞台『エヴァンゲリオン ビヨンド』の降板と休養が突如発表された際、業界内には大きな衝撃が走りました。公式に明かされた休養理由は「心身の不調」。関係者の証言によると、役作りに魂を削りすぎるあまり限界を超え、重度の過影とストレスに苛まれていたといいます。
しかし、映画『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編』の劇場公開舞台挨拶ではサプライズで手紙を寄せ、その後少しずつ公の場への復帰を果たしました。復帰後のインタビューでは、自身の脆さを受け入れつつ、役者として再び板の上に立つ覚悟を静かに語っています。現在の彼は、かつてのようなハイペースな作品出演ではなく、作品を厳選しながら自らの表現を追求するスタンスへとシフトしています。