テレビ番組のテロップで「米国の映画サイトが発表」と重々しく紹介されるため、多くの視聴者は映画芸術科学アカデミーや権威ある国際映画祭のような公的組織が厳正に審査しているものと信じ込みがちです。実情を徹底取材すると、全く異なる実態が浮かび上がります。
このリストを主催している「TC Candler(TCキャンドラー)」とは、英国出身で現在はアメリカに拠点を置く一人の男性批評家兼ライターの個人名名義です。1990年に個人的な趣味として友人たちと始めた映画レビューの付属企画「The Independent Critics(独立批評家連盟)」がその母体であり、公的な国際審査員団や学会のような組織が存在するわけではありません。
公式サイトが掲げる理念には「単なる外見的な美しさだけでなく、優雅さ、独創性、大胆さ、情熱、品格、希望といった要素を考慮している」と情緒的な文言が並びます。客観的な採点基準や数値化された審査シートが公開されたことは過去に一度もありません。選考基準の真相を一言で表すならば、「主催者個人の美的感覚と、ソーシャルメディア上で巻き起こるファンの熱量・反響を加味した主観的キュレーション」に尽きます。
近年ではクラウドファンディングプラットフォーム「Patreon(パトレオン)」を通じ、月額料金を支払った支援者に対して「ノミネート候補者を確実に審査対象へ推薦できる権利」を提供するビジネスモデルが定着しました。資金力と組織票を持つグローバルファンダムの声が選考プロセスにダイレクトに反映される土壌が整っており、かつてのような純粋な隠れた美女発掘リストから、熱心なファンのエンゲージメントを喚起するマーケティング装置へと変貌を遂げています。