SNSやゴルフコミュニティを観察すると、「ハーフに3時間もかかった」「前の組が毎ホール2組詰まっていてリズムが最悪だった」といった悲鳴に似た書き込みが毎週のように散見されます。ゴルフのラウンド時間が遅い理由はどこにあるのでしょうか。単に打数が多いことだけが原因ではありません。
ゴルフ場関係者や熟練キャディへの取材から浮き彫りになるのは、ゴルフのスロープレーの原因と対策における「準備不足の累積」という構造的問題です。打球が曲がって林に入った際、同伴者全員で長時間ボールを探す行為(※ゴルフルール上の捜索制限時間は3分間)や、自分の打番が回ってきてから初めてグローブをはめて距離を計測する動作が、1ホールあたり数分の遅れを生みます。
心理学的な観点から見ると、後続組を待たせていることに対する「状況把握の希薄さ」が関係しています。プレーヤーが目の前の1打に没頭するあまり、後続組との間隔やコース全体の流れに対する心理的バウンダリーが麻痺してしまう現象です。4人1組の全員が1打あたり15秒ずつ無駄な時間を費やすだけで、18ホールで約36分もの遅延がコース全体に波及します。高速道路の自然渋滞と同様、先頭のわずかな滞留が後方では壊滅的な待ち時間を引き起こすのです。