ネット上の掲示板やSNSでは「賞味期限が切れたら何日後まで安全か」という議論が絶えません。この問いに対する科学的な解答の鍵となるのが、食品メーカーが期限を設定する際に用いる「安全係数(Safety Factor)」です。
消費者庁および農林水産省のガイドラインに基づき、各メーカーは微生物試験(一般生菌数や大腸菌群)や理化学試験(過酸化物価・酸価等)、官能評価を行い、品質保持が確認された「可食限界日数」を算出します。そして、その日数に1未満の安全係数(通常は0.8、品目によっては0.7や0.6)を乗じて、実際の賞味期限を決定しています。
たとえば、試験上で10ヶ月間品質が保持されると実証されたカップ麺の場合、安全係数0.8を乗算すると「8ヶ月」が賞味期限として印字されます。つまり、印字された賞味期限から逆算すると、「賞味期限 ÷ 0.8 = 本来の可食限界」という計算が成り立ちます。
ただし、この計算式が成立するのは「未開封であり、パッケージに記載された保存方法(直射日光や高温多湿を避ける等)を厳守している場合」に限られます。一度でも開封した食品は、空気中の酸素や微生物に触れるため、印字された日付に関わらず数日以内の消費が鉄則です。