ソーシャルメディアや大手知恵袋などのコミュニティを分析すると、『僕のこと』の弾き語りに挑んだプレイヤーが口を揃えて吐露するもう一つの致命的な壁があります。それが「コードは弾けるようになったのに、サビのメロディが高すぎて声が裏返る・喉が潰れる」というボーカルの音域ギャップです。
大森元貴氏の圧倒的な歌唱力は日本音楽シーンでも突出しており、この楽曲のサビ(「ああ なんて素敵な日だ」)における最高音は地声・裏声のミックスで「hiD(高音のレ)」、さらにフェイクやアドリブでは「hiE(高音のミ)」付近にまで達します。一般的な成人男性の平均的な換声点(地声の限界)はmid2F〜mid2G(ファ〜ソ)程度であり、原曲キーのまま歌い切ることは、訓練を積んでいないボーカルにとって身体構造上、極めて過酷です。
「原曲キーで弾き語りしなければミセスの良さが出ない」という思い込みは、演奏全体のクオリティを著しく損なう危険をはらんでいます。プロのステージでも、アーティスト自身のコンディションやアコースティック編成の空気感に合わせてキーを変更することは日常茶飯事です。
声の苦しさを感じた場合、男性なら「Capo 1のKey=C」からカポを外し、思い切って「Key=G」や「Key=A」へと4〜6音下げる移調を試みてください。一方、女性ボーカルであれば、原曲キー(Capo 1のKey=C)のままでも歌いやすい音域に収まるケースが多く、少し低く感じる場合は「Capo 3(Key=E♭)」程度にカポを上げることで、伸びやかなハイトーンを響かせることができます。