法律で厳格に定められているにもかかわらず、なぜ「パートは有給が取れない」という事態が日常的に繰り返されるのか。現場への取材調査から見えてきたのは、雇用主側による典型的な言い逃れと制度の悪用だ。
会社側が持ち出す「パート有給もらえない理由」の代表格は以下の3点に集約される。
- 「うちはシフト制で希望休を出せるから、それが有給の代わり」というすり替え
- 「人手不足だから、代わりの人を自分で見つけないと休ませられない」という責任転嫁
- 「雇用保険や扶養の範囲内だから有休は出せない」という法的根拠のない虚偽
断言するが、これらはすべて労働基準法違反である。労働基準法第39条第5項において、有給休暇は労働者が請求する時季に与えなければならない「時季指定権」が定められており、事業の正常な運営を妨げる例外(時季変更権の行使)を除き、会社側に拒否権はない。また、代替要員の確保は使用者の業務管理責任であり、労働者に課すことは違法である。違反した雇用主には「6か月以下の懲役または30万円以下の罰金(労働基準法119条)」が科される刑事罰の対象だ。
さらに注目すべきは、2026年最新有給休暇義務化ルールの運用徹底である。労働基準法では、年間10日以上の有給休暇が付与されるすべての労働者に対し、会社側は「毎年必ず5日」を時季指定して取得させる義務を負っている。
前述の早見表の通り、週4日パートなら勤続3年6か月、週3日パートなら勤続5年6か月で付与日数が10日に到達する。この瞬間から、会社側は該当のパートに対して強制的にでも年5日を取得させなければ、労働者1人あたり30万円以下の罰金が企業に科される。もはや「パートだから」という言い訳は、労働基準監督署の是正勧告を免れないリスクとなっている。