Wordを使っていて最大のストレス源となるのが、「ページの末尾にカーソルを合わせてDeleteやBackSpaceを押し続けても、白紙ページが頑として消えない」という怪現象です。これには、ソフトウェアとしての根本的な設計思想が深く関係しています。
Microsoftの公式サポート文書や専門誌の技術解説でも言及されている通り、そもそもWordというワープロソフトには、PowerPointのような「スライド(ページ)を丸ごと選択して削除する」という概念そのものが存在しません。Wordはテキストやオブジェクトが上から下へと流れる「連続したひと続きのストリームデータ」として文書を管理しており、用紙の端に達した情報が自動的に次の領域へ溢れ出ることで、結果として「ページ」という見た目を形成しているに過ぎないのです。
したがって、画面上に新しいページが表示されているということは、「ユーザーの目には見えない何らかのデータや書式制御コードが、そのページ内に確実に存在している」ことを意味します。消えない最大の原因は、主に以下の3点に集約されます。
- 手動で挿入された改ページやセクション区切り:執筆途中で誤って挿入された特殊な改行コードが、後続の空白を固定している。
- 連続した空の段落記号(改行):レイアウトを整える目的でEnterキーを何回も押した結果、見えない改行マークが次ページへはみ出している。
- 表(テーブル)の直後に自動生成される保護された段落記号:Wordの仕様上、表の直後には必ず1つの段落記号が配置される決まりになっており、これが削除できない性質を持っている。
この見えないコードの正体を暴くための第一歩が、Word編集記号表示のやり方をマスターすることです。キーボードのCtrl + Shift + 8(MacはCommand + 8)を押すか、ホームタブの段落グループにある「編集記号の表示/非表示(¶マーク)」をクリックしてください。画面上にグレーの矢印(改行)や点線(改ページ)がくっきりと現れ、何が白紙ページを支えていたのかが一目瞭然になります。