1986年に刊行された木藤亜也さんの原作『1リットルの涙 難病と闘い続ける少女亜也の日記』と、2005年10月11日から12月20日までフジテレビ系「火曜21時枠」で放送されたテレビドラマ版、そして20年の時を経て錦戸亮さん主演で製作された『映画 1リットルの涙』では、時代設定や登場人物にいくつかの明確な違いが存在します。まずは客観的なデータと設定の差異を一覧表で確認しましょう。
原作とドラマの違いにおいて特に注目すべきは、本が出版されたタイミングです。ドラマ版では、亜也(沢尻エリカ)が亡くなった後に日記がまとめられたような印象を持つ視聴者も多いのですが、実際のあらすじと結末は異なります。原作『1リットルの涙』がエフエー出版から世に出たのは1986年2月であり、当時23歳だった木藤亜也さんはまだ病院のベッドで闘病を続けていました。
主治医であった名古屋大学医学部附属病院(当時)の山本纊子医師や母・潮香さんの勧めによって日記が書籍化されると、全国で同じように病や苦境に立たされている読者から何千通ものファンレターが亜也さんの病室に届きました。「自分の苦しみが誰かの役に立っている」という事実は、発話すら困難になっていた最晩年の亜也さんにとって最大の生きる支えとなったのです。その後、彼女は1988年(昭和63年)5月23日午前0時55分、25歳10ヶ月という若さで静かに息を引き取りました。
さらに2026年における最大のトピックが、公式発表された『映画 1リットルの涙』の存在です。2005年にも大西麻恵さん主演で実話に忠実なインディーズ映画版が公開されていますが、今回の新作映画は2005年のフジテレビドラマ版の系譜を継ぐ特別企画です。木藤亜也さんの闘病日記と母・木藤潮香さんによる手記『いのちのハードル』の2冊を原作とし、2005年のドラマで麻生遥斗を演じた錦戸亮さんが、20年の歳月を経て38歳となった遥斗を演じるという胸を打つキャスティングが実現しました。10代の日に亜也から「生きる意味」を受け取った青年が、30代後半の医師・大人としてどのようにその想いを繋いでいるのか、ドラマ版のその後を補完する決定版として高い評価を集めています。