クリケットインド代表の選手たちが手にする報酬は、日本のプロ野球や欧州サッカーのトップリーグと比較しても突出しています。その収入源は主に「BCCIによる中央年間契約」「IPLの所属契約金」「国内外の大手スポンサー契約」の3階層で構成されています。
インドクリケット管理委員会(BCCI)が定めるセントラルコントラクトでは、選手は実績と貢献度に応じてグレード分けされます。最上位の「Grade A+」に指定された選手には、代表の基本給だけで年間7,000万ルピー(約1億2,500万円)が支払われ、ここに1試合ごとの出場給(テストマッチ1試合につき約270万円など)が加算されます。しかし、これは彼らの年間所得のほんの入口に過ぎません。
年収の跳ね上がりを決定付けるのが、春先に開催されるIPLです。メディア放映権が5年間で約8,000億円という破格の規模で取引されるIPLにおいて、代表主力級の選手は年俸オークションで1億5,000万〜2億5,000万ルピー(約2億7,000万〜4億5,000万円)で競り落とされます。わずか2ヶ月間の大会期間で得られるこの金額に加え、人口14億人をターゲットにする世界的企業(スポーツブランド、飲料メーカー、大手金融、テクノロジー企業)とのエンドースメント契約が積み上がります。
象徴的な例が、希代のバッターであるヴィラット・コーリ選手です。彼の推定年間総収入は50億円以上に達し、Instagramのフォロワー数は2億7,000万人を超え、世界のアスリート長者番付の常連となっています。一国のナショナルチームがこれほど強大な経済規模を誇る背景には、インド国内の国民的熱狂と民間企業の莫大な投資が直結している市場構造があります。