比叡山お化け屋敷を語る上で避けて通れないのが、「本物の霊が出る」「怪奇現象が多発した」という数々の都市伝説です。ネット上の掲示板や知恵袋、SNSなどでは現在も「演者ではない手が足首を掴んできた」「出口に置かれた人形の数が日によって変わっていた」といった真偽不明のエピソードがまことしやかに囁かれています。
こうした噂が広まった背景には、霊峰・比叡山という圧倒的なロケーションが関係しています。1200年以上の歴史を持つ天台宗総本山・延暦寺のお膝元であり、織田信長による焼き討ちなど凄惨な歴史の舞台でもあった土地柄が、来園者の心理に強い宗教的・霊的バイアスを与えていたことは否めません。また、夕刻になると山頂を包み込む濃い霧や、肌を刺すような冷気といった自然現象が、視覚的・触覚的な恐怖を極限まで増幅させていました。
さらに、関係者の間では「シーズン前やオープン時に安全祈願のお祓いを行っていた」という事実が、「怪奇現象が深刻すぎて僧侶にお祓いを依頼した」というショッキングな文脈に歪められて語り継がれた経緯があります。取材班が当時の運営記録や証言を照合したところ、人形の怪異や実害を伴う心霊現象が公的に記録された事実は存在せず、極限の恐怖演出と神秘的な立地条件が融合した結果生まれた集合的イマジネーションであったと結論づけられます。