SNSでの拡散力は凄まじい。発見の第一報が流れるやいなや、スマートフォンの画面越しにその圧倒的なビジュアルが世界中に広まった。吉野の静かな山村には、早くも国内外から観光客が押し寄せている。地元自治体は急遽、臨時のシャトルバスを運行し始めたが、インフラは完全にパンク状態だ。
「静かに眠らせておくべきだった」と、近くの寺院の住職はため息をつく。「ここは観光地ではありません。信仰の場であり、畏れを抱くべき場所です。面白半分でカメラを向ける人々が増えれば、土地の霊気が乱れてしまう」。観光資源としての期待と、聖域を守りたいという願いの間で、地域は激しく揺れ動いている。