約30メートル。見上げる者を圧倒するこの高石垣は、長年の雨風と地震によるズレで、一部に変形が見られていた。崩落すれば文化財としての価値だけでなく、観光地としての安全性も脅かされる。そこで立ち上がったのが、全国から集められた石工たちだ。彼らは重機が入れない狭い堀の底で、一つひとつの石の配置を記録し、手作業で積み直した。
単に積み直すだけではない。今回はドローンによるミリ単位のレーザー解析が導入された。伝統的な「野面積み」の隙間に隠された、石同士が噛み合う絶妙なバランスがデジタルデータとして可視化されたのだ。職人の勘と最新テクノロジーの融合が、この奇跡的な復旧を可能にした。