誰もが兵庫の逃げ切りを確信していたかもしれない。しかし、駅伝の神様は最後に残酷で、そして美しいシナリオを用意していた。6区を終えた時点で、トップ兵庫と2位長野との差は18秒。この差を縮めるのは容易ではないと思われたが、長野のアンカーを務めた実業団のエースは、最初からハイペースで突っ込んだ。
中間点を過ぎたあたりで、その差はみるみる縮まり、残り1.5キロ地点でついに並ぶ。並走する二人のランナーの荒い息遣いが、テレビの集音マイクを通して伝わってくるようだった。最後は、トラック勝負を見据えた長野のロングスパートが決まり、スタジアムに入る手前で勝負あり。劇的な幕切れに、スタジアムは揺れた。