陸上専用スパイクを履かない学校の運動会や社内レクリエーションでは、アンツーカーや土のグラウンド、狭いトラックといった制約が存在します。こうした環境で一般ランナーや子どもたちが勝利を手にするための運動会リレーのバトンパスの極意は、専門競技とはアプローチが異なります。
運動会で頻発する最悪のミスは、トップスピードで走ってきた走者と受け手が衝突して転倒すること、あるいは怖がって止まったまま受け取ることです。これを防ぐ最も確実な対策は、「半身(斜め前)スタート」と「目視(セーフティ)パス」の採用です。
次走者は完全に前を向くのではなく、進行方向に対して体をやや斜めに開き、左肩越しに前走者の接近を目視確認しながら助走を始めます。前走者が指定のマーク(土のグラウンドでは石やラインで代用、約10歩〜12歩手前)に到達した段階でスタートを切り、前走者のスピードが落ちる前に、確実に手元を見てバトンを受け取ります。「絶対に手元を見てはいけない」という陸上競技のセオリーをそのまま運動会に持ち込むと、練習不足の走者はほぼ確実に空振りを起こします。ほんの0.2秒手元を確認して確実に掴む方が、落棒による致命的なタイムロス(5秒〜10秒以上の損失)を完全にゼロに抑えられます。
また、走順の戦術配置も極めて重要です。運動会のトラックはカーブの半径(R)が小さく遠心力の影響を強く受けます。コーナーリング技術に長けた選手を第1走者や第3走者に配置し、加速力のある直線勝負が得意な選手を第2走者やアンカーに置くことで、パスゾーンでの減速を劇的に防ぐことができます。