SNSや美容系掲示板で定期的に盛り上がる議論のひとつに、敏感肌朝洗顔しない派の真相をめぐる論争があります。「朝はぬるま湯だけで洗うと乾燥しない」という言説を信じ、洗顔料の使用を完全に断つ人が増えました。しかし、ここに大きな落とし穴が存在します。
就寝中であっても、皮脂腺からは皮脂が分泌され続けています。皮脂の主要成分であるスクワレンや不飽和脂肪酸は、分泌後およそ6時間から8時間で過酸化脂質へと変化します。過酸化脂質は水溶性ではないため、30度台前半のぬるま湯で流すだけでは約40%以上が肌表面に残留するという測定データも出ています。取り除かれなかった過酸化脂質は細胞を酸化させ、かえって慢性的な接触皮膚炎や赤み、毛穴の開きを引き起こす引き金になります。
一方で、無添加低刺激洗顔石鹸ネットの反応を検証すると、「石鹸なら自然由来だから安心」「固形石鹸こそ正義」といった盲信が散見されます。しかし、純石鹸はアルカリ性(pH9〜10)です。健康な肌であれば「アルカリ中和能」によって数十分で弱酸性へと回復しますが、すでにバリア機能が低下している敏感肌の場合、弱酸性へ戻るまでに数時間を要し、その間ずっと肌が無防備な状態に晒されます。さらに石鹸カス(脂肪酸カルシウム)が水道水中のミネラルと結合して肌に付着し、かゆみを誘発するケースも珍しくありません。「無添加=肌に刺激がない」という等式は、皮膚生理学的には成り立たないのです。