インターネット上の掲示板やSNSでは、「『に』と『へ』はどちらを使っても意味は同じ」という誤解が散見されます。しかし、日本語の文法構造上、「に」は使えても「へ」は絶対に使えない決定的な用法が複数存在します。
1. 静止した存在場所を表す場合
「部屋にいる」「庭に木がある」を「部屋へいる」「庭へ木がある」と言うことはできません。「へ」は移動の方向を示すため、静止状態の存在場所には適用不可です。
2. 特定の時間を指定する場合
「会議は3時に始まる」を「3時へ始まる」とは表現できません。時間の着地点を示すのは「に」の専売特許です。
3. 動作の対象助詞として用いる場合
「先生に質問する」「友達にプレゼントを渡す」といった動作の対象(受取人や相手)を表す場合、「先生へ質問する」は一部で許容されるものの、「友達へ渡す」のように直接的な授受関係では「に」が最も自然です。
4. 動作の結果・変化を表す場合
「氷が水になる」「信号が青に変わる」を「水へなる」「青へ変わる」とは言えません。状態の帰着点を指す役割は「に」が担います。
5. 動作の目的を表す場合
「買い物に行く」「映画を見に行く」のように、目的を示す場面では「買い物へ行く」も慣用的に使われますが、「見へ行く」のように動詞の連用形に直接「へ」を接続することは文法上不可能です。