アピタ高崎店が2019年3月31日をもってその営業を終了した際、地域コミュニティやSNS上では様々な推測が錯綜しました。「高崎駅周辺の商業集積や郊外巨大モールとの顧客争奪戦に競り負けたのではないか」「ネット通販の台頭による衣料品・住居関連売場の壊滅的な赤字が原因ではないか」といった声が聞かれたのも事実です。しかし、流通業界の決算資料やグループ戦略の推移を辿ると、ネット上で囁かれた噂とは全く異なる合理的な経営判断が浮き彫りになります。
最大の要因となったのは、ユニーの親会社であったファミリーマートと、ドン・キホーテを傘下に持つパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)による資本・業務提携でした。旧来型のGMSモデルは全国的に、アパレルや家電などの非食品部門がECサイトや専門店にシェアを奪われ、収益構造の抜本的な改革を迫られていました。当時のユニー系列店舗動向を調査すると、PPIHの持つ驚安ノウハウを既存のアピタ・ピアゴに注入する共同実験店舗が、前年比で売上高・客数ともに大幅な改善を記録していたことが分かります。
関係各社の公式発表によると、アピタ高崎店は集客力や商圏規模が十分に維持されていたからこそ、次世代型のハイブリッド店舗への転換対象として選定されました。つまり、後ろ向きな店舗閉鎖ではなく、高崎エリアにおけるシェア拡大を狙った「攻めの業態転換」こそが、看板を下ろした直接的な理由でした。