天守閣に入れない決定打となった名古屋城天守閣入場禁止理由は、前述の通り「大規模地震時の倒壊リスク」という極めて明確な人命保護の観点にあります。名古屋市の公式耐震診断データによれば、既存のコンクリート天守は現在の耐震基準を著しく下回っており、登閣者の安全を担保できない状態にあるためです。
一方で、復元計画を巡って全国的なニュースとなったのが名古屋城エレベーター問題真相です。計画の原点には「焼失前の姿を寸分違わず再現する」という極めて厳格な史実尊重の理念がありました。名古屋城には、戦前に作成された奇跡的な記録群「昭和実測図」やガラス乾板写真が残されており、世界的に見ても比類のない精度で木造天守を復元できる条件が整っています。当時の市長や復元推進派は「史実に存在しなかったエレベーターを設置すれば文化財としての真正性が損なわれる」と主張しました。
これに対し、障害者団体や市民団体からは「公金を投じる公共施設でありながら、障害者や高齢者を排除するのは合理的配慮を欠いている」と激しい反発が巻き起こりました。さらに市民討論会での不適切発言を巡るトラブルなども重なり、対立は感情的な対立へと激化。市側は新技術を用いた昇降ロボットや小型昇降機、VR技術による疑似体験などの代替案を模索しつつ、誰もが楽しめる城郭のあり方について有識者会議や関係団体との対話を重ねています。単なる建築工事にとどまらず、「歴史的真正性」と「現代のインクルーシブ思想」をいかに調和させるかという、現代日本の重要課題がここに凝縮されています。