この言葉のルーツを辿ると、1990年代を代表する社会現象となったアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』に行き着きます。作中に登場するエヴァンゲリオン ATフィールドは、正式名称を「Absolute Terror Field」と呼び、劇中では「誰も侵すことのできない聖なる領域」「心の壁」を意味する概念として描かれました。
しかし、「太ももの露出部」を指す隠語として転用されたのは、エヴァの公式設定ではありません。2001年3月、当時ネット上で熱狂的な支持を集めていたデスクトップ常駐型少女ソフト(伺か/まゆら)のコミュニティにおいて、個人サイト「UK-ASIALOG」の管理人・宮前氏が発信した記述が絶対領域の由来と元ネタの決定的な起点とされています。当時、膝上ソックスとスカートの隙間に対して「ここから先は神聖にして侵すべからざる領域、まさに絶対領域」と評した表現が、2ちゃんねる(現5ちゃんねる)の各種スレッドや同人界隈に爆発的な勢いで拡散しました。
「不可侵の聖域」というエヴァ本来の荘厳なニュアンスを、フェティシズムの対象へとユーモラスかつ的確にスライドさせたこのネットスラングは、オタク文化の変遷を象徴する言葉として定着していきました。アニメの台詞をそのまま引用するのではなく、オタクコミュニティの言語感覚が生み出した二次創作的な言語表現が、やがて大衆文化へと逆流していった典型例といえます。