大食いでお腹が異常に膨らむ理由とは?胃のレントゲンと太らない真相

大食いでお腹が異常に膨らむ理由とは?胃のレントゲンと太らない真相

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数万キロカロリーを1回の食事で体内に流し込みながら、なぜ彼らは肥満体型にならず、翌日には元のフラットなお腹に戻るのか。そこには人体のエネルギー利用効率を超えた、特異な大食いの消化吸収メカニズムが存在する。

第一の要因は、腸管における栄養吸収のキャパシティオーバーである。食物が胃から十二指腸、小腸へと送り出される際、通常は胆汁や膵液、各種消化酵素によって微粒子レベルまで分解され、絨毛から毛細血管へと取り込まれる。しかし、1食で5kg〜10kgという常軌を逸した質量が流入した場合、分泌される消化酵素の絶対量が追いつかない。さらに、強力な蠕動運動によって消化管内を猛スピードで内容物が通過するため、炭水化物や脂質の大部分が分解・吸収されないまま大腸へと送られ、短時間で体外へ排泄される。

第二の要因として解明が進んでいるのが、大食いと褐色脂肪細胞による代謝の関係性である。人間の体内には、エネルギーを蓄積する白色脂肪細胞のほかに、熱を産生してエネルギーを積極的に消費する「褐色脂肪細胞」が存在する。成人では肩甲骨周囲や頸部にわずかに残るのみとされる組織だが、一流の大食い選手の代謝動態を調べた研究では、食後直後から体温が急上昇し、激しい発汗を伴う食事誘発性熱産生(DIT)が確認されている。摂取したカロリーの一部が、脂肪として体内に定着する前に、純粋な「熱エネルギー」として空気中へ放出されているのだ。

加えて、血糖値の急上昇を抑えるインスリン分泌のレスポンスや、胃から分泌される食欲増進ホルモン「グレリン」および脂肪細胞から分泌される満腹ホルモン「レプチン」に対する受容体の感度が、一般人とは根本的に異なっている。どれだけ大量の糖質が流れ込んでも急激なインスリンスパイクを起こさず、余剰エネルギーを中性脂肪に変える生化学的ルートが飽和していることが、大食い選手が太らない理由の真相である。

池田 達也
著者

池田 達也

Webメディアでの編集・執筆歴10年。読者の好奇心を刺激するストーリー作りを心がけています。