渡辺謙の出身地は新潟県北魚沼郡広神村(現・魚沼市)です。地理的にもメディア環境的にも読売ジャイアンツ戦の中継が圧倒的だった東日本エリアで育った彼が、関西の象徴である阪神タイガースに傾倒した経緯には、幼少期の野球体験も関係しています。
少年時代は地元の野球チームで白球を追い、純粋な野球少年として育った渡辺ですが、上京して俳優の道を歩み始めてからも野球への情熱が冷めることはありませんでした。当時の球界において、エリート街道を走る巨人に対して、常に反骨精神を掲げて泥臭く立ち向かう阪神タイガースの姿は、下積みを重ねる若い役者の心に強く刺さるものがありました。
そして前述の闘病という人生最大の試練を経て、単なる野球好きから「阪神タイガースと運命を共にする生涯の虎党」へと完全に覚醒することになったのです。新潟出身でありながら甲子園を心の聖地と呼ぶ彼のスタンスは、理屈ではなく魂の結びつきによって生まれたものでした。