アメリカ合衆国中央部に広がる大平原一帯は、世界的に「トルネードアレイ(竜巻街道)」と呼ばれています。テキサス州はその南の起点に位置しており、地理的な宿命として最も過酷な気象条件下に晒され続けています。
トルネードアレイの仕組みを地理学的に俯瞰すると、西側にそびえる標高4,000メートル級のロッキー山脈と、南側に広がる温暖なメキシコ湾という二大要素が巨大な「気象のフラスコ」を作り出していることがわかります。北米大陸の中央には東西方向に遮る山脈が存在しないため、南北の気団が一切の障害物なしに激突します。
テキサス州はこの気象フロントの最前線です。州の東部が湿潤な亜熱帯気候であるのに対し、西部は乾燥したステップ気候や砂漠地帯に連なります。この乾燥空気と湿潤空気の境界線は「ドライライン」と呼ばれ、春先になるとドライライン上で局地的な爆発的上昇気流が誘発されます。これがテキサスを世界有数の竜巻多発地帯へと仕立て上げている自然のからくりです。