インターネット上の掲示板や雑談において、バイセクシュアルに対しては根深い偏見が根強く残っています。これらは当事者の実態から乖離したステレオタイプにすぎません。ここでは3つの代表的な誤解の真相を検証します。
誤解1:「両方を好きになるのだから浮気しやすい、気が多い」
最も頻繁に投げかけられる偏見が「浮気性」というレッテルです。「対象が2倍いるのだから浮気の確率も2倍になるのではないか」という安易な算術ですが、これは明白な論理の飛躍です。 恋愛対象の幅と個人の誠実さはまったく別の次元の問題です。異性愛者の男性がすべての女性と浮気しないのと同様に、バイセクシュアルであっても特定のパートナーを定めれば一途に関係を深めます。浮気をするかどうかは個人の道徳観やパートナーシップの質に依存するものであり、性的指向を理由にした帰責は根拠のない差別に他なりません。
誤解2:「ただの気の迷いであり、いずれ同性愛か異性愛のどちらかに落ち着く」
バイセクシュアリティを一過性の「実験期」や「通過点」と見なす言説も後を絶ちません。これは学術的に「バイセクシュアルの消去(Bisexual Erasure)」と呼ばれる現象です。 アメリカのシンクタンクや国内外の社会学研究によると、何十年にもわたって一貫してバイセクシュアルであり続ける当事者が大半を占めており、性的指向として恒久的に確立されたものです。「最終的にどちらか一方を選べ」と迫る周囲の態度は、当事者の自己肯定感を著しく損なう要因となっています。
誤解3:バイセクシュアルは少数派の中のさらにごく一部である
各種調査のデータを紐解くと、この認識は完全に覆されます。LGBTQ+に関する国内外の統計調査(電通グループや海外調査機関ギャラップ社のデータ等)において、性的マイノリティを自認する層の中で最も割合が高いのは、ゲイやレズビアンではなくバイセクシュアルであることが繰り返し示されています。 日本国内でも全人口の約8〜10%が性的マイノリティに該当すると推計される中、その半数近くをバイセクシュアル層が占めています。数としては最も多いにもかかわらず、異性愛にも同性愛にも同化して見えてしまうため、最も実態が見えにくくなっているという逆説的な構造が存在します。